2011年12月24日土曜日

iBasso A02 (その2:内部をばらしてみました)


ちょっといたずらして、iBasso A02のふたを開けて中身を見てみました。

残念ながら、全てのOPアンプの表面が削られてしまっていて、銘柄は何を使っているかはうかがい知る事は出来ませんでした。唯一分かるのは、ボリュームコントロールICのDS1801という文字だけです。
カタログでは、オペアンプが8機搭載と書いてあったので、増幅用のDualオペアンプICが4個、ぐらい積んであるのかと思いきや、SSOP8ピンの怪しきICが5個、さらに、TSOPのICが2個搭載されていて、ちょっと訳分かりませんね。

根気よく、回路を逆アセンブルしていけば、OPアンプIC交換なんかも出来るようになると思うんだけど、ちょっとそこまでの気合いはありません。

「スパイラル物置」さんというblogに、このA02のベースとなったT5の分解写真が公開されていますが、構成としては大体同じ感じですね。

ので、壊す前に、大切にふたを閉じました。
だれか、回路図を逆アセンブルしてくれる人、出てこないかな〜。

2011年12月23日金曜日

iBasso A02 (ヘッドフォンアンプ)

僕のヘッドフォン熱は加熱するばかりで、ヘッドフォンアンプという物を買ってしまいました。
いつもの、秋葉原のE☆イヤホンに言って、色々と視聴したところ、この機種が、値段も手頃で、良い意味での“普通”の音でしたので、この機種に決めました。

iBasso A02という機種です。
詳しくは、こちらです↓
http://www.hibino-intersound.co.jp/information/2769.html



気に入ったところはいくつかありますが、
一番は、薄くて小さいところでしょうか。
ヘッドフォンアンプと言うと、こんな感じ→のアルミ押し出し材のケースを使っている物が多いと思うのですが、そこまで大げさな物は抵抗感が有りました。
右の写真は、PICO USB/DACという機種で、実際に音は良かった(値段も良い)のですが、持ち歩くにはちょっとという感じでした。

あと、抵抗感があったのが、アンプというより「バスブースト(低音増強)」の機能を売りにしている物が多かった事です。確かに、重低音の音は派手で素人受けをするのでしょうが、アンプというのもは基本的に、原音を忠実に再現する物であって欲しいと思います。特に、ヘッドフォンの場合は、機種ごとの個性が強いので、なおさらアンプ側は素直な物じゃないと“泥沼化するな〜”という思いもありました。

と言うわけで、このiBasso A02という機種を買いました。当初は、その一つ下の機種であるA01を買おう(お値段も9,800円とキリが良いですし)と思って、視聴をしたのですが、こっちのA01は音に色づけが多くて(いわゆるドンシャリ)、好感を持てませんでした。

さあ、前置きが長くなりました。
肝心のA02の音の印象ですが、iPhone3GSに直結の時と比較して、

  1. 出てくる音の帯域が広がります(低音から高音までより広く出るようになります)
  2. 音の制動力があがります(ドラムの様な破裂音が、ビシッと決まるようになります)
  3. より、音が立体的に聞こえるようなります(音の粒立ちがはっきりする感じです)
というのが、主に感じた変化です。このアンプはBTL型駆動ということですので、上の3つの特徴はまあ納得という感じでしょうか。比較対象に、Mini Watterと聞き比べてみましたが、音の“制動力”という意味ではA02の方が明らかに良いですね(OPアンプのダンピングファクターは、真空管とは比べものにならない位高いで当たり前ですね)。それでいて、細かい音のディテールもMini Watterに負けず劣らず表現するので、設計者のセンスの良さを感じます。

逆に、音の艶というか色気の様な物は、真空管アンプのMini Watterだけが持っている独自の世界で、A02にからは感じる事は出来ませんが、それだけA02は生真面目に音を鳴らすアンプと言って良いと思います。

そして、これを言ってしまってはおしまいかもしれませんが、所詮プレーヤーがiPhoneというレベルでは、あんまり目くじらを立てて音質を云々いうのは野暮ですね。A02を入れただけで十分に音は良くなります、それ以上の音を求めようと思ったら、ヘッドフォンアンプよりiPhoneを買い換えた方が効果的でしょう。

以下、加筆分:
その後、2週間ほど聞き込んで見ました。一個、大きな問題点を見つけました。
iPhone 3GSで使っているのですが、電波強度が強いとき、例えば、webブラウスをしながら音楽を聴いていると、高周波ノイズが頻繁に入ります。
アンプを、iPhone本体から距離を離せば大分改善するのですが、使用方法としてそれもめんどくさくて我慢しながら使っている状況です。

それから、音質に関しても、聞き込んでいくと色々と不満も出てきますね。
一番の不満は、解像度がもう一ランク高いと良いな〜、という事です。まあ、普通に聴く分には十分の解像度なのですが、もう少し音のエッジが立ってくれると言う事無しなんだけどな〜、という感じです。これも、ある意味BTLアンプの(悪い部分での)特徴ですよね。

2011年12月19日月曜日

ULTIMATE EARS TRIPLE.FI 10(10PRO)

僕のヘッドフォン選びは、SonyのMDR-EX1000という機種で落ち着きそうなのですが、その過程でご多分に漏れず、色々と“迷走”しましたので、その散財の成果を若干ご紹介したいと思います。

最初の紹介は、ULTIMATE EARS TRIPLE.FI 10 (10PRO/通称“テンプロ”)です。

実は、今回のヘッドフォンに選びをするまでは、BA型(バランスド・アマーチュア型)という形式が有る事すら知らなくて、お店に行って初めてその存在を知って、一度その音を経験したいという欲求に従って買ったのが、この“10PRO”です。

一言で言えば、BA型の特徴を象徴的に表している機種だと思います。とにかく、音のディテールがはっきりしていて、レンジが広くて、音場表現が“これでもか !!”  って感じで広がります。


この辺は、各帯域(高音/中音/低音)で最適化したBAドライバを3機搭載するマルチドライバ形式ならでは良さだと思います。初めてその音を聞いたときには、良い意味での大きな衝撃を受けました。


このヘッドホンは、ロックとか電子音向きと言われますが、その帯域の広さと輪郭の正確さも手伝って、オーケストラや(音数の多い)ポップスなんかも良く鳴らすと思います。このメーカーが、ステージ上のモニターイヤホンとしてミュージシャンから指示を受ける理由も、この「輪郭の正確さ」に有るのでは無いかと思います。


ただし、


ここからが、僕が結局、手放してしまった理由になるのですが、10PROのネガティブな点として良く指摘されている「ボーカルが引っ込む感じ」を僕も感じて、どうしてもそれが許す事が出来ませんでした。


厳密にクロスオーバーの周波数を調べたわけでは無いのですが、マルチドライバ故に、音のクロスオーバーのさせ方に若干問題が有るように感じます。しかも、その繋がりが悪いと感じる部分が、自分が特に重視しているヴォーカルやギターの主旋律域であったので、その時点で他が良くてもNGとなってしまいました。


最後に、どうでも良い事かもしれませんが、この10PROは、とにかく“敏感”ですので、遊ぶにはとっても楽しいヘッドフォンだと思います。アンプを換えたりとか、ケーブルを換えたりとか、イヤーピースを換えたりとか、そう言った変化に敏感に反応します。なので、これをネタに色々と試してみて、「いや〜、ヘッドフォンって物はさぁ〜」ってウンチクを垂れるには良い機種かもしれません。


そんな事を含めると、他人の口コミ情報が重視されるネットの世界で、高い評価を受ける理由も何となく納得出来てきます。ただ、それを楽しむには、僕は年を取りすぎているし、自分の好みも明確化しすぎていたのかもしれません。


そう言う訳で、10日ほど楽しんで、さようならと相成りました。

2011年12月18日日曜日

Sony MDR-EX1000 (インナーイヤーヘッドフォン)

久々にオーディオネタは、イヤホン(ヘッドフォン)の話です。

SonyのMDR-EX1000というインナーイヤー型のヘッドフォンを買ってしましました。

最近のはやりでは、こういう耳に突っ込むタイプは「イヤホン」と言って、頭の上をアームが跨いで耳にかぶせるタイプを「ヘッドフォン」って言うみたいですね。ただ、“Walkman”と一緒に青春を過ごした僕にとって、やっぱり「ヘッドフォン」と書いた方がしっくり来るので、この言い方を続けます。

さて、あまりヘッドフォンにはこだわっていませんでした。そもそもiPhoneから大して良い音がでない事が分かっていたし、新幹線の騒音の中ではあまり目くじらを立てて音質をこだわる気にもなれませんでした。

その後、Mini Watterを作った事をきっかけに、ヘッドフォンが面白いな〜と感じ始めて、色々と物色して、行き着いたのがこのヘッドフォンです。

恐らく、このblogに訪れる方はご存じと思いますが、カナル型(耳に突っ込む形式)のヘッドフォンのドライバは、従来のダイナミック型と、BA(バランスド・アマーチュア)型の2形式がありますが、僕は、ダイナミック型のゆとりのある鳴らし方が好きなようです。

さて、話をMDR-EX1000に戻して、肝心のインプレなのですが、モニターイヤホンというだけあって、すごく「正確な音」を出します。

印象的なのは、圧倒的に広いダイナミックレンジと、音楽のおいしさを髄まで絞り出すような音の密度の濃さです。その上で、エンクロージャーの響かせ方が絶妙なのか、自分の脳みそいっぱいに音場が広がります。このコンサートホールにいる様な「音場の広がり」はこの機種だけが持っている特徴かもしれません。

実は、MDR-EX1000を買う前に、秋葉原のE★イヤホンというお店(とても良いお店です!!)で散々に他の機種の聞き比べもしました。例えば、BA型で評判の良いTRIPLE.FI 10 (10PRO)は、音が人工的な上、特定の周波数の音に濁りがあってNG。Westone4は好みの音だったんだけど、若干、音の出が苦しそうなのがなんかストレスを感じてNG。ダイナミック型の“高級機種”と言われるSENNHEISER IE80については低音過多で完全にNG。

こんな感じで、散々試して半ばあきらめかけていたところに、MDR-EX1000を聴いて、「目から鱗」じゃなくて「耳から鱗」。すごいぞ、Sony!!と声を出したくなる位、感動的な音でした。

ということで、明日からの新幹線通勤の時間が楽しくなりそうです。

2011年11月27日日曜日

NEW Wheel (Mavic Reflex and Schwalbe Durano)

宣言した通り。ホイールを買いました。

MAVICのReflexにshwalbe Duranoの組み合わせです。スポーク数も32Hとちょっとクラシカルで基本のきと言えるようなホイールです。まだ、走っていません(笑)。なので、インプレはそのうち書きます。

で、箱根を一周走ってきました。印象としては、「“普通”って素晴らしい〜!!」です。
何を言っているのかいまいち意味不明ですが、それが印象です。

はっきり言って、R-sysよりも大分重いホイールですから踏み出しは決して軽くはありません。ただ、一度転がり始めれば、結構スムースに進みます。これは、坂道に持ち込んでも決して印象は変わりませんでした。真偽は分かりませんが、恐らくチューブラータイヤの“真円度の高さ”がこのスムースさにつながっているかのようなフィーリングを感じます。

乗り心地については、かなり好印象です。バネ感があって荒れた路面でもシャキシャキ進みます。感覚的な表現ですが、カーボンスポークのR-sysが「ダンパー」だとすると、これは「バネ」ですね。大きな衝撃が加わると暴れますが、小さい衝撃はかなり気持ちよく吸収してくれます。

剛性感については、明らかにR-sysに劣りますが、これは脚力の無い僕にとっては余りネガティブな要件ではありません。「ゆがむ」し「しなり」ますが、自分はそう言った変形を推進力や、旋回力にするテクニックを持っていますので、その辺をわきまえて使えばかなり楽しいホイールですね。

と言うわけで、色々と小さい問題は多いけど、全体としてはとても良い奴って感じです。
特に、変な形で尖った所がないので、日常的に使うのはとても良いのでは無いでしょうか。

以上が、インプレです。

追伸:
ちなみに、ハブはUltegraです。

2011年11月13日日曜日

奥様の自転車(3RENSHO MAX)

10年ほど前、ちょうどMTBの競技に熱中し始めたときに使っていたフレームを、奥様のバイクとして再生しました。

黄色く塗装してしまって、外から伺い知るはできませんが、今は亡き三連勝のクロモリMTBフレームです。コロンバスのMAXチューブを使って、フレーム単体で2kgを切る重量と当時は最新のスペックでした。

しかも、フロントフォークは、これも今は亡きSHOWA(ショーワ)の“グラビエMP”です。これも名機と言って良いのでないでしょうか。いや〜、懐かしいな〜。

コンポ類も当時の物(8速のXT)を復活させたかったのですが、保存状態が悪く、さびがひどくて断念。クロスバイク用の9速LXのコンポを使っています。タイヤもスリックタイヤ(IRCのMETRO 26*1.5)なので、ほぼ、クロスバイクって言って良い仕上がりです。

もちろん奥様は、そんなうんちくを気にするわけでも無く、黄色でまとめられたデザインにそれなりにご満足いただいたようで、まずは一安心です。

また、お気に入りの機材がもう一個完成しました。

2011年11月9日水曜日

クロモリなのか、オーダーなのか。


そりゃあ、オーダーでしょう。

「クロモリオーダーフレーム」と、ひとくくりで言いますが、「クロモリ」が良いのか、「オーダーメイド」が良いのか、どっちが良いのかという下らなくも楽しい話題がありますが、僕は間違いなく↑の通りです。

2011年11月2日水曜日

CHERUBIM(ケルビム) ULI インプレ [その2/レーシングバイクとしての性能]

Cherubim(ケルビム) ULI号は、朝晩の通勤ライド(”毎日”と言えない所が情けない)で順調に距離を伸ばしています。だいぶ体にも馴染んできました。暑くもなく、寒くもなく、バイクライドには理想的な季節ですね。

このブログに訪れる人の数や傾向を見てみると、やっぱり皆さんクロモリロードバイク少なからず興味を持っているのだな〜、と感じます。特に、クロモリロードは、クラシカルな雰囲気でまとめた物や、コストパフォーマンスを意識した初心者モデルがほとんどで、僕のようにトップグレードのパーツを組み合わせた例が少ないことも、僕のブログのアクセスが伸びている一つの要因かもしれません。

という事で、今日は僕のULI号のレーシングバイクとしての性能について書いてみたいと思います。とは言っても、僕の脚力は「お遊びでレースに初心者クラスに出る程度」の物として判断してください。

重量
現在、ベダルを着けた状態で、7.9kgに仕上がっています。通常のカタログスペックは、ペダルレスですので、ベダル(PD-M959)の重量の約350gを減算すれば、7.6kgというのがカタログ重量です。

これは十分に軽い重量では無いでしょうか。まあ、賢明な方は既にお気づきと思いますが、ケルビムULI号はフレーム単体で1400gです。他方、最近の最新カーボンフレームが900g前後ですので、その差は500gしかありません。なので、コンポーネントで頑張れば、かなりの軽量バイクに仕上げる事ができます。

ただ、僕は、バイクの重量ってあまり気にしていません。500gの差なんて、水のボトル一本分ですし、むしろ、僕の体重のおなかの脂肪を減らす方が軽量化にはよっぽど有効でしょう。
(ただし、慣性マスの小ささと、走行抵抗の低減にはかなりこだわっています。まあ、この話は追々。)


剛性
これに関しては、完全に現代バイクの勝ちですね。特に、ヘッドやBB付近の『体幹』部分の剛性を徹底的に強化した最近のカーボンフレームの剛性感は素晴らしいですね。踏めば進むし、逆に、ちょっと変な動きをしても、フレームが全部吸収してくれて、ハンドリングに破綻をきたしません。

それに比べるとULI号は、“しなり”ます。決して、“ゆがむ”じゃ無いのでご安心を。

剛性を語る上で、もう一つ重要な要素は、ペダリングの時の力が逃げないかという課題だと思います。この点、僕のように脚力が無い人間にとって、独特の「しなり」を持つクロモリフレームは大きなアドバンテージの一つと言って良いと思います。

ULIを一言で言えば、すごく「足にかかる」フレームです。シッティングで漕いでも、ダンシングで漕いでも、気持ちよく加速していきます。ただこの辺は、要は人間と自転車のマッチングの要素が大きいので、フレーム素材の善し悪しの指標としては不適切かもしれません。

むしろ、乗り手を考えて、素材/ディメンションを煮詰めてくれたビルダーさんの腕の良さを評価すべきかもしれません。

ハンドリング
ULI号の大きな特徴は、ピスト並みのキャスター角(立っている)とホイールベース(短い)だと思います。
それに、僕は43mmオフセットのフォークを合わせています。

最初図面を見たときは、クイックすぎるハンドリングじゃないかと心配しましたが、そんな事はありませんでした。確かに、大くくりでは『クイック』側に位置づけられるハンドリングと思います。曲がりたい方向に、スパッと曲がるハンドリングです。その意味では上級者向けかもしれません。

ただ、難点を挙げるとすれば、良く出来たカーボンフレームに感じる「フレームの重心の低さ」はありません。これって、説明するのは難しいのですが、特にダンシングをした時に感じる(良い意味で)重心の低さについてはULIは負けています。そして、やっぱり重心が低い方が、ハンドリングに安定感を感じます。

とは言っても、下りで、50km/hを超える速度でコーナーを曲がるようなシーンでも、ちゃんとしたリーン動作(ハンドルじゃなくて、体で曲がる動作)をすれば、ULIもきもちよ〜くコーナーを曲がっていきます。ENVEのフォークの性能もあるのでしょうが、先週行った箱根の下り坂では、素晴らしいハンドリングを見せてくれました。

総合的には
もし、あなたがレースで勝ちたいと考えいるのであれば、ケルビムULIを選ぶという選択肢は無いでしょう。カーボンバイクの方が速いです。

もし、あなたがクラシカルな雰囲気を楽しみながらお気楽ツーリングしたいなら、ケルビムULIを選ぶという選択肢は無いでしょう。同じケルビムのラグフレームのR-2の方ががお勧めです。

もし、あなたが仲間達とのツーリングでそれなりに速く走りたい、たまに出場するレースでもそれなりに前を走りたい、とお考えならケルビムULIは結構お勧めです。レーシングバイクとしても決して侮れない性能を十分に持っています。

そして、最近のカーボンバイクの子供っぽいグラフィックや、毎年変わる“最新の規格”や、不景気になっても下がる事を知らない価格や、に飽き飽きしていて、とは言っても最近に自転車ブームに乗って、バイクに乗り始めた若い連中にはレースでは絶対に負けたく無い、と言う方は、今すぐ町田に行って、今野さんにフレーム製作を依頼してください。

最後は、僕の事です。

2011年10月24日月曜日

Cherubim ULI と Mavic R-sys

う~ん、写真がいまいち。

最近、MavicのR-sysをキーワードにこのblogを訪れる方が多いので、今のULI号とR-sysのインプレを書いてみたいと思います。

フレームを、ULI号に乗り換えて、自転車のフィーリングって、つくづくコンポーネントの総合的な性能だと感じます。今回の乗り心地の話であれば、フレームとホイールとタイヤといった組み合わせで決まるモノ、さらに言えば、ハンドルやシートポストやサドルなんかを換えただけでも結構変わることもあるので、そう考えると「インプレって何!?」っていう“全否定”型の意見が出てきてもおかしくない位、難しい(まあ、そこが一番面白いのですが)モノだと感じます。

さて、現在の僕の現在の足回りの組み合わせは、
フレーム: ケルビム ULI
ホイール: Mavic R-sys
タイヤ: IRC FORMULA PRO TUBELESS RBCC
って組み合わせですので、その前提で読んでください。

じつは、僕がULIをオーダーしたときに、ビルダーの今野さんは、

 『いや~、アルミ系の剛性のあるホイールの方が相性が良いんですけどね。』

仰っていました。
その時は、カーボンから乗り換えるのに、そんなスパルタンな選択肢は無いな~、と思っていましたが、ULIに乗り始めて何となくそのご意見の理由が分かってきた気がします。

R-sysというホイールは、言うまでも無く、Mavic社が最新技術の粋を結集して作ったホイールのなので、非常に「洗練された」ホイールだと思います。このホイルを、軽量だとか/柔らかいとか/走るとか「一括り」の言葉するのはとても難しいぐらいの非常に総合力の高いホイールです。

一方のULIのクロモリフレームは「単純で、シンプルな」フレームです。とにかく反応が素直で「過剰な演出」は何一つありません。力を掛ければしなるし、大きなギャップに入れば振動は伝わるし、コーナーで(わざと)変な動きをすればバイブレーションが発生します。まあこう書くと、文句のように聞こえますが、そう言う一つ一つの動きが、体の中のプリミティブな喜びを刺激します、『そうそう、自転車に乗るって事はこういう事だ。』という感じに。

なので、ULIというクロモリフレームにR-sysというホイールの組み合わせは、シンプルで良い素材に、濃厚なソースをあしらった、贅沢な料理って感じがします。

なので、通勤の時に「ぼけぇ~」と気を抜いて漕いでいるときは、フィーリングのほとんどはR-sysというホイールが支配的な気がします。ちょうど、普段、インスタントの料理しか食べていない人が、料理のソースの味しか判別できない様に。

そこからまじめに踏んでいくと、そのベースにある素材のおいしさ、つまり、クロモリというシンプルだけど滋味のある味わいを感じ始めます。特に、僕がクロモリの一番の欠点(というかカーボンの利点)である、路面からの微振動の吸収性が悪いという欠点を、R-sysは見事にフォローしてくれます。その分、クロモリフレームの「粘りのある走り」という一番美味しい部分を存分に味わえる様になる所は、「う~ん、この組わせ最高!!」とも感じる所です。

ただ、贅沢な僕は、贅沢な悩みを抱えます。

「たまには、クロモリフレームの“味”をシンプルに楽しみたいな~」

そう考えると、R-sysは邪魔な存在になります。シンプルなホイールの方が、反応がダイレクトでフレームの性能を感じられるのでは無いかと思います。

ということで、R-sysも良いけど、手組で、しかもタンジェント組みされたチューブラーホイールがもう1set欲しくなっている今日この頃です。

ただ、ビルダーの今野さんの最初の発言は、「クロモリと言っても十分に走るから、中途半端に剛性の無いホイールなんか使うな!!」という意味だと思いますが...。

そんなわけで、新たなホイール購入計画へと進みます。さてさて。

2011年10月19日水曜日

ENVE ROAD FORK 2.0 (Cherubim ULI インプレ番外編)

Cherubim ULI のインプレ番外編として、今回、ビルダーの今野さんのお勧めで採用した、フロントフォーク

ENVE ROAD FORK 2.0

は掛け値なしに良いフォークだったので、ちょっと記事を書いてみたいと思います。

実は、ENVEというメーカーは、ULIを作る前には全く知りませんでした。今回ケルビムさんにフロントフォークのアップグレードを相談する時になって、初めてその名前を聞いて、しかも「圧倒的にお勧めです!!」と言われなければ、恐らく他のフォークを採用していたと思います。

写真を見て、おわかりの通り、最近では珍しくなった!?ストレートタイプのフォークです。
実は、ストレートタイプは、剛性感のある換わりに乗り心地が悪いという世間の評判があった為、僕自身も余り良いイメージを持っていませんでした。

確かに、このENVEのフォークも、決して振動吸収性の良いフォークというよりは、剛性感のあるフォークに位置づけられると思います。ただ、ストレートとは思えないほど、路面の細かい微振動の吸収性は優秀な性能です。

それ以上に印象的なのは、ダンシングをしたり、下り坂のカーブを曲がったりするときのフィーリングが"秀逸"です。何とも感覚的な表現なのですが、「曲がりたい方向に、曲がってくれる」フォークです。固いとか、柔らかいとか、そう言う定量的な評価を超えたところで、『気持ち良い〜!!』と感じられるフロントフォークには久々に出会いました。

ENVEというメーカーのwebサイトを調べてみると、このメーカーはアメリカのユタ州にあるメーカーで、かなりテクノロジーオリエンテッドに頑張っているメーカーみたいです。そして、インディペンデントなビルダーにフレンドリーなメーカーみたいですね(スイマセン、カタカナ英語ばっかりで)。その意味でも、自分としては、かなり共感を持てるメーカーです。

ついでに言えば、このメーカーのカーボンリムも相当に評判が良いらしいので、かなり「ほっすぃ〜」モードなのですが、そこは、しばらく、我慢、がまん。

2011年10月16日日曜日

CHERUBIM(ケルビム) ULI インプレ [その1]

手前は、今までの愛車だったGIANT TCR Composite(2002年モデル)。奥が、新しい相棒のCHERUBIM(ケルビム) ULI のフレームです。

TCRは、確か、初めてGiant社がカーボンフレームをリリースした年に買ったと記憶しています(前の年に限定販売されていた)。当時は、あるフレームが全盛の頃、カーボンパックすら出始めの頃で、フルカーボンは結構珍しかった頃でした。

その軽さ、乗り心地の良さ、バランスの良いハンドリングに惚れ込んで、気がつけば10年近く乗っていた事になります。

さてさて、前置きが長くなりました。
なぜ、わざわざこんな事を書いたかというと、僕の評価はこのGiant TCRが基準になります。それを踏まえて読んでください。

で、CHERUBIM君のインプレなのですが、3日で50kmほど乗った印象では、「すごく似ている」 というのが偽らざる印象です。細かい所では、細かく違いを挙げる事は出来るのですが、全体としての印象は「すごく似ている」と言って良いと思います。

「やっぱ、クロモリは違うぜ〜、世界がガラッと変わる位の衝撃だ〜!!」

ぐらいの事を言いたかったのですが、残念ながらそこまでの違いはありません。
これって、やっぱり、自転車の性能って、フレームだけではなくて細かいコンポーネントを含めた全体の構成で決まる物という事実の証左だと思います(今回、フレーム/フォーク/シードポスト以外に、部品は変更していません)。

具体的な印象をキーワードで言い表せば、

 ・乗り心地は柔らかい、ただ、細かい凹凸の吸収性はカーボンの方が上
 ・踏み込んだときには、粘りを持って足にかかってくる(これはGiantも一緒)
 ・やっぱり、ポジションがばっちり決まった自転車は気持ちいいですね
  すごく素直な挙動を示します(これも、Giantも一緒)
 ・これは、決して懐古趣味では無くて、ばっちりレーシングバイクです
 ・走りには全く不満はありません

ってな感じでしょうか(訳分からない表現でスイマセン)。

実は、今回の乗り換えで、一番印象的だったのは、ENVEのフロントフォークの性能の良さだったりします。なので、次の記事ではENVEの話でも書いてみたいと思います。

2011年10月13日木曜日

CHERUBIM(ケルビム) ULI 組上がりました



長らくお待たせしましたが、というか、僕にとっても非常に長い時間だったのですが、9月末にやっとフレームが完成し、自転車として組上がりました。

細かいことに色々と言及したい(実際に写真も色々と撮っている)のですが、とりあえず駐輪場で撮った写真(しかも、携帯のカメラ)とスペック表を載せます。

      
フレーム: ケルビム ULI
Fフォーク: ENVE ROAD FORK 2.0(オフセット43mm)
ヘッドセット: Campagnolo Record HIDDEN HeadSet TTC
ハンドル: FSA K-Wing Compact(c-c 400mm)
ハンドルステム: ITM Millenium 90mm ※そのうち交換の予定
STIレバー: SHIMANO 7800 DuraAce
ブレーキ: SHIMANO 7800 DuraAce
シート: Fizik Arione k:ium
シートポスト: Fizik Cyrano Carbo
クランク: FSA SL-K light MegaExo Compact (長さ170mm)
(チェーンリングはアルテグラ) アウター50T/インナー34T
スプロケット: SHIMANO 7800 DuraAce (12T-28T)
FD: SHIMANO 7800 DuraAce
RD: SHIMANO 7800 DuraAce
ホイール: Mavic R-sys
タイヤ: IRC FORMULA PRO TUBELESS RBCC (Stans No-Tubeを使ってチューブレス化してます)

まあ、スペックだけで、モノが何か分かるオタクの方はお気づきと思いますが、フレームがクロモリなのに、他のコンポーネントはほとんどカーボン製で固めています。まあ、一世代前の部品も多々ありますが、見る人が見ればかなりスパルタンな仕様になっている「旦那仕様」のバイクといって良いかも知れません。

2011年8月5日金曜日

6B4G 全段差動PPアンプ 製作編#5(完成!!)

完成!! しました。

”とりあえず完成”と言った後に、やっぱりしっくりこなくて、色々と改良を加えてやっと「完成!!」と言えるレベルにこぎ着けました。ただ、情けないのは、さんざん回路をいじったのですが、原因は、自分の犯した回路には「ミス」だったことですが、とほほ。

さて、写真に写っているとおり、一番大きな変更としては、今までの初段:6DJ8→ドライバー段:5687であった構成から、初段をFETに変更して、6DJ8をドライバーとして受ける構成に変更しました。

FETは、ぺるけ師匠も多用している2SK30Aを使っています。数少ない自分の作例からの印象ですが、やっぱり解像度の高い音を出すという意味では、真空管よりもトランジスタの方が有利な様な気がします。実は、フォノイコも同じ理由で、真空管からトランジスタに変更しました。

そんなわけで、音には満足しているのですが、デザインとしては「歯欠け」したような何とも情けない格好になってしまいました。

さて、ということで、真空管が1個減ったスペースをどうしようと考えていたのですが、以前から使いたいと思っていた小型のVUメーターを入れてみようかと画策中です。Φ35の穴を開けなければいけないし、既に実装密度も高いので入るか分からないですが、ちょっと今、図面を書いたり、回路を検討したりしている最中です。

2011年7月21日木曜日

Fluke 177 フルーク デジタルマルチメーター

お気に入りの道具の道具の第1弾は、Fluke 177(フルーク デジタルマルチメーター 177)です。
最近では「デジタルマルチメーター」略して”DMM”って言うんですね。でもやっぱり、これは「テスター」ですよ、僕にとっては。

さて、この「テスター」ですが、僕のように電子工作を楽しむ人間にとって、「半田ごて」と並んで、最も登場頻度が高い道具だと思います。これまでは、秋月電気で売っている、中国製¥2,980円のDMMを使っていました。はっきり言って、性能的にはこれでほとんど不足を感じませんでした。逆に、安いモデルの方が、コンデンサの容量が計れたり、トランジスタのhfeが計れたりと多機能だったりします。

一方、職場では、備品としてFluke87が何台かあります。
これを使うと、やっぱり、「高級品」違うな〜、と、つくづく感じていました。

まず、精度が高いだけあって、表示される最後の数字(有効数字が4桁なので、例えば[1.125V]という表記)まで、バシッと数値が決まります。
ただ、それ以上に印象的なのは、機械的な堅牢性ですね。ダイヤルを回した時のクリック感とか、エラストマー素材で構成されて持ちやすいけど、剛性感のある本体とか、そういう機械的な部分で、使う度に「良い道具だな〜」と感じていました。

そして、なりより、一番の良いところは、会社の中で手荒に扱われても全然壊れていない事。そして、そうやって使い込まれて、所々にキズが付いた古い物でも、全然みすぼらしくならないことでしょうか。

とはいえ、Fluke87は、家庭で使うにはちょっと大きすぎるし、重すぎます。そして、何より値段が高すぎます。

ということで、さんざん迷ったあげくに買ったのが、87よりも一回り小さい177を買いました。精度が若干落ちる(とは言っても、87:0.005%→177:0.007と十分に高精度)ことと、耐圧が上がる(そもそも、そんな高圧機器は扱いません)ぐらいで、それ以外の性能はほぼ同等です。

で、使ってみると、やっぱり良いですね〜。
取り出す度に、ダイヤルを回す度に、そして、値を計る度に。やっぱり良いな〜、とほくそ笑んでいます。

2011年7月15日金曜日

6B4G 全段差動PPアンプ 製作編#4(未完成ながら周波数特性)


未完成(この台詞、しつこいな)ながら、周波数特性も公開します。
-3dBのポイントでは、20Hz〜60kHzの帯域を確保しています。

これはこれで優秀と言えますが、ぺるけさんの回路だと、低音側は10Hz以下を優に確保していますし、高音側も100kHz以上延びていますので、回路的な追い込みは、まだまだと言ったところでしょうか。

6B4G 全段差動PPアンプ 製作編#4(未完成ながら回路図とスペック)

色々と問題を抱えていますが、現在の完成型になりましたので回路図とスペックの公開です。

主要部品は以下の通りです。

 出力管(真空管):6B4G 差動PP
 ドライバー管:12AU7 差動PP
 初段管:6DJ7 差動PP
 電源トランス:TANGO GS-250
 出力トランス:TANGO FE-25-8
 ケース: TUBEWORKS KS-320

例によって回路は、ぺるけさんの「全段差動PPアンプ」のコピー回路になっています(まあ、細かい回路常数はいじっていますが)。

なお、入力がバランス入力です。現在、画策中の「バランス出力DAC」と「バランス出力フォノイコ」を受ける為に、パワーアンプだけ一足先にバランス化しました。

ただ、今はアンバランスで使っています。アンプのゲインもバランス入力に合わせたので、この状態だと全然出力が出ません。たぶんフルボリュームで4Wぐらいです。でも、家庭では十分すぎる「爆音」が出ます。

白状すれば、FBゲインは高すぎ、残留ノイズも1mV(左右とも)、それよりも、直結にしたドライバー段の動作電圧が足りずに、出力管より先にゲインが頭打ちになるという情けない状態になっています。段間コンデンサを入れるか、280Vタップを使って専用に高い電圧を作るかしないとだめですね。

とはいえ、これから8月にかけて仕事の方が忙しくなりそうなので、一度、ここで完成としてしばらく音の評価をしてみたいと思います。

2011年7月6日水曜日

6B4G 全段差動PPアンプ 製作編#3(とりあえず完成)


とりあえず、
  すべての半田付けが終わって、
    各部の電圧の確認が終わって、
      音が出ました。

まだまだ、残留ノイズもありますし、本当に完成しているか自信が無いので、これからデバックを開始します。
シャーシレイアウトとしては、結構コンパクトにまとめられたのでは無いかと思うのですがいかがでしょうか?

(ここから加筆分です)
詳しい回路図が、体力測定の結果は、これから掲載する予定ですが、とりあえずちゃんと動いているようです。なので、しばらくこの状態で使ってみる予定です。

いずれ変化するかもしれませんが、現時点での印象を少し。

まず、音についてですが、良くも悪くも「中庸」です。差動PPの音はかなり好きなので、これまで3極管の300Bと、5極管のEL34を使った差動PPアンプを作っていますが、今回の6B4Gの音は「その中間」という感じです。音色はきれいなのですが、EL34のエッジが切れるようシャープさは無いし、300Bのゴージャスな響きもありません。

悪く言えば「個性が無い」という事になるのでしょうか。自分で作っておいてこう言うのも何ですが、少なくとも作って1日聞いた時点では、あんまり気に入っていません。がんばったのに、ちょっとガッカリしています。

ただ、こういう中庸な音って聞き込んで見ないと本当の良さが分からないし、細かいチューニングもまだまだなので、もう少し時間をかけて判断をしたいと思います。

ただ一つ言える事は、このアンプ暑すぎます。

今回、低内部抵抗の球を使って広帯域のアンプを狙ったため、

 初段:6DJ8(6922)
 次段: 5687WA
 電力増幅段:6B4G

という構成になっているのですが、この5687の発熱がすごいですね。まあ、ヒーター電力が6.3V*0.9A=5.7Wもあるので当たり前なのですが、実際に作ってみると想像を超える暑さです。

ちなみに、シャーシ表面の温度で47℃(室温25℃)。

これじゃあ、電子部品の耐久性にも影響が出るし、そもそも、電力不足が叫ばれる今年の夏に極めて「非国民」な出来になっているので、他の球を使う事を考慮中です。

無難なところで、増幅率が同程度の12AU7にすか、それとも、初段と同じ6DJ7にしてゲイン計算をやり直すべきか、思案中です。

2011年6月26日日曜日

CHERUBIM(ケルビム) ULI その1:フレームディメンション


町田の今野製作所で、オーダーしたのは今年の2月、5ヶ月たってやっと製作に入るための図面が届きました。

興味の無い方には単なる数字の羅列にしか見えない図面ですが、周囲の自転車好きの同僚達とワイワイ言いながら図面を見ました(仕事中です。まあ、これも間接的には仕事の一部です)。

そこでのみんなの印象は、

 「これ、ピストバイクじゃん!!」

です。

代表的な寸法を、候補にしていたスペシャライズド“S-Works Roubaix ”フレームの520サイズと比較してみましょう。
 
 ヘッドアングル: 73.5度 (Roubaix/72度 [+1.5度])
 シートアングル: 75.5度 (Roubaix/74度 [+1.5度])
 リアセンター: 399mm (Roubaix/412mm [-13mm])
 フロントセンター: 583.5mm (Roubaix/588mm [-4.5mm])
 トップ長: 535mm (Roubaix/537mm [-2mm])
 ヘッドチューブ長: 151mm (Roubaix/145mm [+6mm])

ご覧の通り、ヘッドアングル(キャスター角)はより垂直に近く、ホイールベースは短く、普通に考えれば、このディメンションだと、かなりクイックなハンドリングになると思われます。それこそ、行きたい方向を向いただけで、そっちに曲がって行く位の自転車が出来上がるのでは無いかって感じです。

ただ、僕のオーダーは「レースには出ない。100kmを超える長距離を快適に走りたい」という要望ですので、それを反映して、ライディングポジションは、Roubaixと比較しても「楽なポジション」になっていることが、トップ長/ヘッドチューブ長の数値から見て取れます。

もちろん、自転車のフレームのフィーリングが、ディメンションだけで決定する物ではありませんし、素材や剛性のバランスを含めて判断する物とは分かってはいますが、この“過激な”ディメンションを見て、かなり驚いた事は事実です。
周囲の意見は、「絶対にだまされている。ビルダーの価値観を押し付けられている。」と言う感じでしたが、自分としては、ここで中途半端な専門知識を振りかざすよりは、ビルダーである今野さんの“思想”に、とことん付き合ってみたいという気分になりました。

と言うことで、今野さんに対して、現在自分が感じている不安を含めてメールで返信しました。
これが、僕から送ったメールの抜粋:
  ご指摘のトップ長と、ハンドル高低差については、全然問題ないと思います。
  むしろ、キャスター角(73.5度)、シート角(75.5度)、リアセンター長(399mm)
  の設定にビックリしました(ピスト車並、ですよね)。
  自分は、決して脚力がある方では無いですし、レースでのハードな使い方を
  するわけでも無いので、フレームとしては神経質過ぎないのが良いのですが、
  そこは今野さんのお考えがあっての事だと思いますので、
  お任せしたいと思います。


そしてこれが、今野さんからの返信の抜粋:
  一見レーシーですが、きっと素晴らしい乗り心地のフレームになります!
  楽しみにしていて下さい。


これは、もう、信じるしか無いでしょう !!
恐らく、完成は残暑が終わる頃になると思われますが、楽しみに待ちたいと思います。

2011年6月25日土曜日

CHERUBIM(ケルビム) ULI

じつは、今、自転車フレームをオーダー中です。
オーダーしたのは、CHERUBIM(ケルビム)の ULIというスチールフレームです。

http://www.cherubim.jp/product/uli.html

今の“主力戦闘機”である、GiantのTCR(ONCEレプリカ)は2002年からかれこれ10年近くも乗っており、そろそろ新しい自転車が欲しいな、と思っていました。

とはいえ、コンポは7800のDuraで固めていますし、ホイールは去年にR-sysを買ったばかりです。

という事で、今回はフレームのみのバージョンアップを画策して、色々と調べたあげくに行き着いた結論が「オーダー」という選択肢です。自分も年を取ったせいか、スチールフレームのあの“細さ”に、何とも言えない美しさを感じる様になりました。

それに、かつては乗り心地の良さを前面に出していたカーボンフレームも、メインストリームになるに従い、どんどんレーシングなスペックに、つまり、カチカチの固いフレームに変貌している状況に、どうしても食指が伸びる商品を見つける事が出来なかった事も、その理由です。

実は、このフレーム、オーダーは3月に済ませていたのですが、先週にやっと図面が届いたので、まずは前振りとしてこの記事を投稿します。次の投稿では、その図面を公開したいと思います。

2011年6月24日金曜日

6DJ8 Mini Watter (ミニワッター) アンプ:その後編

6DJ8 Mini Watter (ミニワッター) アンプですが、完成して2週間ほど使っています。

聞き込んで見て分かったのですが、感覚的な表現ですが、「大人のアンプ」です。地を這うような低音や、ナイフエッジの様なシャープさはありませんが、音を正確に鳴らします。そこに、各真空管の持つ音の個性が、薄味のスパイスとして乗っている様な感じです。

音量についても、我が家の用途である「休日はFMラジオを付けっぱなし」と「Gyaoで韓流ドラマ鑑賞(奥様です)」に対しては、充分すぎる音量です。爆音に浸りたい時には、メインアンプ(と言っても10W)にご登場頂いています。

素人考えなのですが、こんな「簡素な回路」でありながら、ちゃんとした音を出すのは、信号のライン(回路)と、電源のライン(回路)を、かなり明示的に分割していることが要因だと思います。Mini Watterアンプの場合も、OPTを駆動する終段の信号ループがアースラインから独立していることが特徴ですし、差動PPにしても、定電流回路によって信号ラインが独立しています。そう言う設計をすることで、電源にまつわる課題と、信号増幅にまつわる課題をちゃんと分けて対策出来る様になり、簡素な回路でありながら、必要充分とする性能に行き着ける様になるのでは無いかと思います(実際に、ぺるけさん本人も、アースラインの設計と、信号ループの設計がキモだと強調されていますよね)。

昔、差動PPを作った時、つまり、自作初心者の頃は「信号ラインからコンデンサの排除」した部分に魅力感じていましたし、そのころの作品は、バカみたいに大きなコンデンサや、高価なコンデンサ(OSコンとか)を使って、そこから得られた音に満足していましたが、(少しづつですが)回路を勉強をする様になって、その考え方を改める様になっています。というか、コンデンサにこだわる事って、方法が違うだけで目指している所は一緒であることが分かりました。

こうやって文章を書いてきて、ぺるけ式アンプ全般に感じる事ですが、この辺のさじ加減は、家庭料理に似ていることに気がつきました。食材、設備、料理人の腕、全てが整ったレストランに対して、家庭料理で美味しい物を食べようと思ったら、

 1.レストランの食材を超える高級食材を買ってくる
 2.丁寧に下処理をし、出汁をとり、アクをとり、シンプルに味付けする

のどちらかだと思います。前者が高級コンデンサ的指向に対して、後者が今回のやり方です。そうやって、家庭でも料理をすれば、ちょっとやそっとのことではレストランに負けない食事が作れることは、たぶん、うちの奥様も同意してくれるはずです。

最後は話がそれました。

2011年6月18日土曜日

6B4G 全段差動PPアンプ 製作編#2(ラグ板パズル加工)

6B4G 全段差動PPアンプは、着々と進んでおります。今回は、シャーシのスペースに余裕が無いので、各部をラグ板にユニット化する形態を取っています。写真に写っているのは、「差動アンプ」である定電流回路です。左が増幅段2段目、右が6B4Gの最終段の回路です。初段は、FET(2SK30A)一発なので写っていません。

2段目の回路はラグ板上に、最終段はヒートシンクに乗せたトランジスタの上にLラグを組み合わせて作っています。

CRD(定電流ダイオード)や、LM317等のレギュレータICを使えばもっと簡単な回路で出来るのですが、少しでも特性を良くという願い(果たして、音の違いが聞き分けられるかは微妙ですが)と、電流値の調整が出来るように、トランジスタを使ったディスクリート回路で組みました。

差動PP回路は、定電流回路や、バイアス調整用のマイナス電源の用意が必要な分、回路規模が大きくなるので、配線は結構煩雑になってしまいますね。なので、ラグ板やユニバーサル基板を使わないと、とても僕の実装技術では収まりません。

なので、試行錯誤しながら、こうやって「ラグ板パズル」を解いている最中です。

2011年6月13日月曜日

6DJ8 Mini Watter (ミニワッター) アンプ:周波数特性取り直し編

6DJ8のMini Watterアンプですが、周波数特性を測定しました。最初に取ったデータは、ヒーター電圧が5.0Vしか無い状態での測定だったので、この結果が修正版です。

表計算ソフトが慣れないOpenOfficeを使っているので、何とも中途半端な出来ですがご容赦ください(excel買おうかな〜)。

-3dBの減衰で考えれば左右とも40Hz〜50kHzを確保しています。若干、左右のチャンネル増幅率が異なっている様ですので、これは後でFB定数を調整して合わせ込む予定です。ぺるけさんもご指摘の通り、出力は小さいですが、かなり優秀な性能を確保しています。すごいな〜(僕は回路をコピーしただけ)。

周波数特性にも、どこにもピークもディップ無く、春日無線のOUT-54B-57も非常に優秀なOPTだと思います。

と、ここまで書いたのですが、実はその後、確認までに各部の電圧を測ったら、LM317で定電圧化したヒーター電圧が、わずかに4V前後しか無いことが判明。0-8Vのタップですが、電圧降下が大きく電圧余裕が無かった様です。結局、簡易直流点火(ブリッジダイオード&コンデンサ&抵抗1発)への改修をしました。なので、やっぱり後で、周波数特性も一から取り直します。
改修完了しました。これが正式なデータです。

ちなみに、残留雑音も0.1mV以下(我が家の測定器の下限以下)と、こちらも非常に優秀な結果となっています。なお、ヒーターを直流点火した事に伴い、ヒーターバイアスはかけていません。

ちなみに、今回の測定に当たって、ファンクションジェネレータは、「お気楽オーディオキット資料室」というwebサイトにある、AD9832(デジタルシンセサイザーIC)をつかった基板の頒布を頂きました。これもこれで、自作キットでありながら、1MHzのサイン波が出力可能なかなりの優れものです。
このwebサイトは、恐らく自作DAC系の基板頒布では一番有名なサイトでは無いかと思いますので、興味のある方は是非、一度訪れてみることをお勧めします。きっと、欲しくなるようなキット(基板)がたくさんありますよ。

2011年6月11日土曜日

6B4G 全段差動PPアンプ 製作編#1(シャーシ加工)


新しいアンプの製作に着手しました。
現在のメインアンプで、300B(Fullmusicのメッシュナス管)の全段差動PPに換わる存在として、同じ3極管の6B4GのPPアンプを企画中です。

今回のテーマは、「見て美しく」、そして「安定した動作」をすることを目標に、とにかく熱設計(放熱)を考えながら作っています。
そんなわけで、この業界(真空管アンプ)ではあまり見られない、仰々しいヒートシンクがシャーシの上に屹立しています。

今回、B電源はMOS-FETの簡易安定化電源にする予定なのですが、計算したら、発熱が約5Wあります(20Vの電圧降下*250mAの電流)。この発熱を、温度上昇ΔTを15℃以下にしようとヒートシンクを探したら、この大きさになってしまいました。

それ以外の工夫としては、

 ・バイアスは、定電流回路と-電源の半固定バイアスにする
 ・ヒーターは直流点火にするけど、順方向電圧の降下量が少ないSBD(ショットバリアダイオード)を使う
 ・プレート電流は、性能が落ちない程度に、そこそこに少なく

なんて事を考えながら作っています。

で、とりあえず、シャーシ加工が終わった所です。
気持ち的にはもう少し放熱穴を開けたいのですが、天板が2mm厚のアルミということで、これ以上開けると強度に不安が出てきそうなので、これぐらいにしておきました。

ちなみに、今回のダイオードは、左の写真の秋月電気のブリッジ式のSBDのD15XBS6を使いました。

このダイオードは、(ブリッジダイオードで)ダイオードが2個挟まっているに関わらず、順方向電圧降下が0.63V(max)と少ない電圧になっています。
通常品だと、大体0.95V位ですので、約0.3Vの違いがあります。たかだか0.3Vと感じるかもしれませんが、6.3Vのヒーター電圧の約5%ですのでCRで除去できるリップルは5%改善できます。さらには、6B4G*2本で2.4Aのヒーター電流を必要としますので、0.3V*2.4A=0.72W分の発熱も除去できます。

その分、お値段もよろしく、一個200円!! しかも、4個!!
まあ、絶対額で言えば安いっちゃ安いですが、普段@10円程度の普通のダイオードを使い慣れている身にすると、一瞬固まりますね。

ちなみに、以前の300Bアンプでは、有名な“出川氏”が開発したA&R labのSBDを使いましたけどね。たしか、これは1個1500円近くした様な記憶があります。出川氏とは、とあるイベントで直接話をさせて頂いたこともありますが、エンジニアだけあって、言っていることは極めてまともです。彼の求めている物は、ダイオード整流時の高周波ノイズを極限まで減らすことにあり、その手段として彼の提唱する論理は、(詳細は僕には分かりませんが)十分に信用して良いと思います。

ただ、自分の経験から言える事は、高周波ノイズが「音」に与える影響は僕は認識出来ませんでした。まして、ヒーター電流の交流点火と、直流点火の違いも聞き分けられません。唯一言える事は、直流点火は残留ノイズを減らす方法として極めて有効なことです。

SBD(ショットキバリアダイオード)やFRD(ファーストリカバリダイオード)にまつわる「高周波ノイズ」課題は、あくまでも可聴周波数を超えた高周波用途、たとえば、スイッチング電源等の領域で初めて議論の価値が出てくる物だと思います。実際に、各メーカーの仕様書を見ても、明らかにスイッチング電源を意識した記載がほとんどですしね。

2011年6月9日木曜日

6DJ8 Mini Watter (ミニワッター) アンプ:ハラワタ編


恐らく、ミニ・ワッターアンプを独自のシャーシで作っている多くの方が興味のある「ハラワタ(実際の配線の写真)」を公開します。

右から、電源トランスを経て、真ん中の上方に、ヒーターの整流回路(LM317による直流点火回路ダウ委オードブリッジとCRの簡易直流点火に変更しました)、B電源回路(MOS-FETによる定電圧回路)が来ます。

真ん中の下方が、6DJ8を中心とした増幅回路(メイン回路)になります。その横には、ヘッドフォン端子とボリュームが見えます。

そして、一番左には、出力トランスが配置するという形で、重量的にも回路的にも、狭い空間の中にブロックごとに上手に配置が出来たのでは無いかと思います。

このアンプが、3作目になりますが、自分自身も製作の「勘所」がつかめてきた気がします。とは言っても、自分がマイスター級なんていうつもりは全然無くて、自分の実力を考えたときに、「これ位は出来る(実力がある)だろう」という予想と、「これくらいの作品にはなって欲しい」という欲求が大体一致してきたという意味です。

そんな訳で、今、アンプを作るのはたまらなく楽しい状態です。

6DJ8 Mini Watter (ミニワッター) アンプ



「情熱の真空管」で有名な、"ぺるけ”氏の回路をコピーしたミニ・ワッターアンプ(Mini Watter)を作りました。
デザインも、べるけ氏の別のアンプのものですが、ほとんど丸々コピーしました。

興味がある方はこちらのwebサイトを見てみてください。
http://www.op316.com/tubes/mw/index.htm

簡単な仕様表はこんな感じです。

出力管(真空管):6DJ8 シングル(2段増幅)
電源トランス:ソフトン社 M2-PWT
出力トランス:春日無線 OUT-54B-57
ケース: 奥沢 0-46 (サイズ:W250*D160*H50)

電源トランスは、フォノイコを作るつもりで結局お蔵入りになっていた物を使ったので、推奨回路よりも電圧が低くなっています(推奨/216Vに対して、約180V)。そのため、格段の電圧を少しづつ減らしましたが、問題なく動作しています(すいません、詳しい体力測定はまだやっていません)。

ケースのデザインも、ぺるけさんのこの作品を真似させてもらいました。サイズも、25cm*16cmの“A4サイズ”に収まっています。奥沢の弁当箱ケースはアルミの地肌なので、スプレー缶でアイボリーに塗装しています。案の定、制作中にそこかしこにキズを着けてしまったので、ちょっとアップの写真には耐えられません。

シングルアンプを聞くのは、最初に買ったKT-88のシングルアンプ以来ですが、何というかPP(プッシュプル)とは違って、おおらかな音が出てきます。なんというか、必要十分というか、別にやせ我慢では無く、肩の力が抜けたいい音が出てきました。

もう一つ、このアンプを作った理由は、ヘッドフォンアンプが欲しかったこと。

今も、ヘッドフォンで音楽を聴きながらこの記事を書いていますが、ヘッドフォンならではの高解像度に真空管アンプの“楽器性”が加わって、何とも贅沢な音が鳴っています。

2012年1月4日加筆
さて、気に入っていたこのミニワッターですが、もう少しヘッドフォンをシャープに鳴らしたくなり、差動PP型のアンプに生まれ変わる事になりました。

その顛末はこちらのリンクです。

6DJ8 Mini Watter (ミニワッター) アンプは全段差動化へ
http://dsktaka.blogspot.com/2012/01/6dj8-mini-watter.htm